もっと。
昔は自信をもてることがあった。
一番は体力だった。
「標準的な高校生が集まる高校」の中で1,2番の体力がある。
当時はそれだけでも十分だった。
それだけでも自分にとっては十分なアイデンティティに成り得たし、
何かに打ち込むための後ろ楯にも成り得た。
それに絡め、テニスがあった。
少なくとも周り数十人の中で満足できるだけの環境にいたし、
鶏口を味わうことくらいはできた。鶏口でも良かった。
将来、これらがなんの意味を成さないことも当時なりにわかっていたつもりだけれど、
それでもよかった。直接的な意味合いがなくとも、
「自分」を支えるだけの力を持っていた。
今は、ろくなことがない。
何で支えればいいのかわからない。
体力のことだって、並以下だ。
少し無理をすればすぐにがたがくる。
ものすごくつらい。
こんなことでも、今を悲観するに値する十分な材料になっている。
むしろ、昔あった数少ない自信が崩れているだけあって、
今の環境の中で虐げられることよりも、つらいと感じる時が多々ある。
きっと、現状に対する直接的な自信よりも遠くにある自信のほうが、
うまく支えていけるんじゃないかと思う。
現状にあるようなことでは、すぐに揺らいでしまうし周りからの評価も付きまとう。
それこそ、「テニスがうまい」「体力がある」という
大人の観点からすればつまらないかもしれないことのほうが、
ずっと支えになる。
どうにもならないことはいいとしても、
今の自分にはろくなことがない。
あきらかに周りの人たちよりも劣っている。
むしろ周りだけに留まってはいない。
同世代というくくりで見ても、様々なものが足りないし劣っている。
同世代というくくりで見た現状がもはや愚かしい。
もっと広い範囲でのことだと考えた方がいい。
おそらく、
支えるものが無いから、
すぐに逃げようとするようになってしまった。
ストレスからは目を背け、
まるで他人事のように自分を乖離させることで
自分を保つようになってしまった。
自分のがんばりになんて価値は無い。
がんばった結果にしろがんばならなった結果にしろ、
結果に価値が生まれればそれは大きな価値だ。
ただ、今は結果的な価値につながりすらしない。
だから、自分のがんばりなんて価値はないし、
がんばっていないときなんてさらに愚かしい。
いくらがんばっても、方向性が違うことは多い。
むしろそれを疑わなければいけない。
今の自分には指針が正しいということもろくにあり得ない。
それを自覚しなければいけない。
結果が劣っても間違っても、
それは結局意味のないことだ。
むしろ意味が無いだけならばまだいい。
悪影響すら及ぼすのだとういうことを知らないといけない。
自分のがんばりに期待なんてしてはいけない。
期待なんてただの傲慢であることを知らなければいけない。
傲慢であることを知らなければ、
すぐに同じ愚行を繰り返す。
自分を信じてはいけない。
自分に期待してはいけない。
愚かしいという評価にすら値しないと考えた方がいい。
今まではそれなりに大きな価値のあることだと考えていた、
「自分なりに」という行為には大きな悪が含まれるということを考えなければいけない。
「自分なり」がいかに自分勝手で幼稚で愚かしいことなのか、
もっともっともっと理解しなければいけない。
もっともっと、自分が愚かであることを自覚しなくてはいけない。
何で支えればいいのかわからないからこそ、
自分がとても劣っていることを考えていなければいけない。
考え続けなければいけない。
もっともっともっともっと考え続けなければいけない。
自覚し 続けなければいけない。
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと
言い聞かせなければいけない。
自分にはろくなことがないのだと
ろくなもんじゃないのだと
もっともっともっともっともっともっともっと
言い聞かせなければいけない。
今のままでは生きている価値があるかどうか
疑わしいのだと
もっともっともっともっともっと
自分を疑わなければいけない
自分が自分であるために
自分を守るために、
自分を信じてはいけない。
できないならば、
自分をあきらめることになる。
できる自信があるとも言えない。
弱い。とにかく弱い。
「自信がある」と言うことすら嫌なぐらい弱い。つらい。
つらいという弱音を吐くことも嫌だ。
弱音を吐いている自分が情けない。
だから、せめて口から言葉にすることだけはしたくない。
いくら頭の中で弱音を吐いてくじけていても、
口だけは嘘をつかなければいけない。
「自信はある」「あきらめたい」と口にできなくとも、
とにかく自覚し続けることをやめてはいけない。
これらは今の自分のことであり、自分の作品や進路のことだけではない。
ということも覚えておかなければいけない。
むしろ、覚えるなんて一歩後ろの事実ではなく、
考え続けるという進行形でなくてはいけない。
休む間もなく、責め続けて生活しなければいけない。
つらいとてもつらい