20090209

夢の中の異世界か、夢の中が異世界か。


 に久しぶりな夢日記です。

これから記す夢日記は、見てから既に2日が経過していますので、
とてもとても大雑把で前後不覚となっています。
そればかりか、追記しようと思っていた昨日の夢に至りましては忘れてしまいました。
霞がかった記憶程度ならば良いのですが、
もはやこれはぽかんと丸ごと忘れてしまったと言って正しいことと思います。
非常に悔やまれます。
そうこうとくだを巻いている傍から、2日前のことまでも忘れてしまいそうになります。





母、彼女と3人である沼に飛び込み、飛び込んだ先の異世界での出来事。

飛び込んだ経緯等は全く憶えてはおらず、
「飛び込んだから水面から飛び出してここへ来た。」
というところから夢が始まります。

飛び出したところは寂れた住宅街でした。

と こう書き記しているうちに思い出しました。
なにを一体というと、沼に飛び込んだ多少の経緯です。



つまりはこうです。
下町風情溢るる瓦の平屋が続く町。
その中の一軒から、どうしてかは今はわかりませんが逃げ出すように飛び出す3人。
そしてなぜか、目の前の沼へ飛び込めば逃げられると思ったのでしょう。
大人の背丈よりは少し低い、沼の前の柵を飛び越えようとします。

しかしそれはなかなかに難しい。
仕方が無いと、ぼくは柵に手をかけ、ぐっと下に力を入れて柵をつぶしにかかりました。
堅いはずの柵は、力をかけた点を谷底にして、ゴムのようにつぶれます。
つぶれたことは良かったけれども、彼女と母が楽に越えられるほどにはつぶれません。

一瞬、どうして良いものかと考えた時、
「なにやってんだあ!横につぶすんだよ、横に!」
叱責を飛ばすおじさんが現れました。
言われた通りに柵にかけた手を横へスライドさせると、
気持ちが良いほどに一帯の柵がつぶれていきました。
おじさんのおかげで沼に飛び込む事が出来ます。

めでたく飛び込んだ3人は、やっとのことで書き出しのシーンに戻る事ができました。



またも寂れた住宅街へ飛び出した3人。
ここから母は断ち消えてしまいました。

さっきまでいた住宅街のようでありますが、いいえ全く雰囲気が違う世界です。

まず、人が沢山いました。
人と言いましても、人型をしているだけで本当に人間かどうかはわかりません。
わからない、ということだけはわかっていたような気がします。
その正体が神なのか妖怪なのかさらに別の物なのか、
具体的なことはわかりかねました。
「人もたくさんいるけれど、人とは少し違う見た目の人もたくさんいた。」

時間というものはきちんと存在していたようで、
だいたい夕暮れ前、だということもわかりました。

彼女が言います。
「ユカに会いに行かなくてはいけない。」

それではと、また合流するまでぼくは独り行動をすることにしました。
しかし特筆するべきほどの目的はありません。辺りを散策する程度です。

歩き始めて気づきます。どうやらこの界隈で祭りが行われているようです。
なるほど人が多いのも神なのか妖怪なのかが多いのも頷ける。
いつのまにか夜になっていた町には提灯がたくさん灯り、
屋台も出てきました。

目の前に小さな鳥居が現れ、その入り口に幼なじみのルイという男が座っていました。
なんだなんだ、どうしてこんなところにいるんだと聞いたところ、
鳥居のあるその奥が家なのだそうです。
しかしそれは不思議だ、その横は先ほど彼女が向かったユカの家だぞ。
そんなに近いところに住んでいたのか、世界は狭いなあと思った時。

(そんなことがあるのだろうか…?ここはもしやおかしな空間なのでは?……ハテ…?)
という、普段の夢の中では感じ得ない違和感を味わった事を今思い出すのです。
沼の先の異世界でなく、現実ではない夢世界の感触を確かめかけた瞬間でした。


そんな違和感もすぐに紛れたところで、彼女が二人の横に歩いてきました。
ルイに彼女を紹介すると、紹介された彼女もルイもお互いに目を丸くして押し黙ります。
数秒後に思い出したように「初めまして」と挨拶をし合ったのでした。
その気味の悪さに居心地を悪くした自分は、
「なんだなんだどうしてなんだ」などと一瞬の間に対して繰り返しつつきましたが、
まあ気にするなよと気になる言葉で濁されてしまいました。

ルイの元から離れ再び独りで歩くと、
沼沿いの細道に20人ほどでたむろする若者がいました。
どうやら高校時代の同輩たちのようです。

なにをしているのかと覗き込むと、シートを敷き、そこで餅を食べています。
これはおいしいところに遭遇した、ぜひとも分けてほしいと願い出、
彼女の分ももらってそそくさと退場しました。
この時、沼の向こうでは花火があがっているようで、
ドーンドーンと大きな破裂音がしていました。


餅を持って鳥居のほうへ戻り彼女を探していましたが、
いつのまにか手元から餅は消えていました。

鳥居の斜め前、ユカ宅の前には二股に挟まれた敷地があり、
そこに建っているのは民家のものにしては大きな風呂でした。

そこでなぜか風呂に入る事になります。
独り、もしくは他にも誰かいたかもしれませんが、静かに湯船で休んでいました。
そこへ、視界に入ると不愉快になるような容姿の、小太りな女性が入ってきました。
その時は男湯であるとか混浴であるとかそういったルールのようなものは意識にはなく、
不愉快な存在が近づいてきた、という気持ちだけがあったことを憶えています。

その女性は湯船に浸かり、しばらく大人しくしていたかと思うと
突然ぼくにむかってなにかしゃべりかけてきました。
内容は憶えてはいませんが、なにか気色の悪い口説き文句のようなものだったと思います。
拒否していると、再び突然、湯船の中で何かを生みました。

あまりに突然だったので驚いてその何かを注視すると、
それはまるで、食卓に上がる数センチの酢蛸を、2周りほど大きくしたもののようでした。

「受精してあなたの子供を生んだのよおおおおおおお」
ヒステリックに妖怪が叫びます。同じ湯船に浸かったがために生んだらしいのです。
その上、
「何を食べさせればいいのかしらああ そう、血ねええええ」
と、狂ったように言いながら自分の経血を体から吹き出して与え始めました。
狂ったようではなく、まさに狂っているとしか思えないおぞましい光景です。

その酢蛸のような醜悪ななにかは、湯船の中に入りながらも血をすすっているようで、
血に染まりかけている湯船をゆっくりと泳いでいきます。
あまりに強い嫌悪感から、仕返しをするかのようにぼくは叫びました。
「てめえええ 近づくんじゃねえよ気持ち悪りいんだよおおくそおおおおおお」

あらん限りに大きく汚い言葉を浴びせ、同時にまだ血を吹き出している妖怪に
力一杯の蹴りをたくさん入れたのですが、一向に弱まる気配はありません。

怒号、悲鳴、たくさんの血。実は地獄に堕ちていたのかと思うほどの光景から、
怒りからだんだんと怖れが強くなった自分は、その小さな風呂場から逃げようとしました。


ユカ宅側の風呂入口へ逃げ、足を絡ませながらふらふらと戸を開けると、
見えるはずの日本家屋は無く、100畳はあるのではという巨大な仏間に、
黒衣をまとった数百人の坊主の後ろ姿と大きな経が反響する空間に出ました。

誰か、何かの葬式を挙げているようでした。
どのような遺影が掲げられているかはわかりませんでした。
  
唐突すぎたこと、黒衣の後ろ姿が目の前まで並んでいたことから、
敷居を跨げず風呂場からは出られませんでした。
視線を下へ移すと、1人の黒衣の背中あたりから、彼女の体が横たわっているのが見えました。

彼女は顔を横にしており妙に立体感が少なかったのですが、
それも仕方のないことで、体の正中線を鉈で斬られたように
半身のみがびちゃりと横になっていました。

「もう4時だよお?起きよう?」
と自分の体の心配をするでもなく、ただ目だけをぼくのほうへ向けてぼくを急かしました。

ああ、そうだ。こんなことをしている場合ではないはずだ。


そうだね、と彼女を抱き起こし、黒衣達も合唱も無視し、
風呂の外側を通り飛び出してきた沼へ駆け出すと、
「あなたの子でしょぉおおおおおおお」
ぼくらを引き止め叫ぶ妖怪がいました。

聞いたが早く、2人で風呂場へ入り、
その妖怪をいつの間にか手に持った鈍器のようなもので殴りつけました。
すり潰しきるように、細胞1つ残さないように正に徹底的に殴り潰していると、
いつのまにか妖怪はガラスの塊になっているのでした。

辺りにガラスが飛散すると、激しく殴っている彼女にもガラスが食いこんでしまう。
危険であるし、まるでそれが妖怪の狙いだったかのように思えてきた事がまた不快だった為、
彼女を静止しようとすると、あまりに興奮していたようで中々言う事を聞きません。
そしてとうとう、小さな破片が眼球に食い込んでしまったようでした。

途方も無い絶望感を感じながら、彼女の頭部を押さえつけ目を覗き込むと、
不幸中の幸いなのか、右目の黒目からは少しばかり離れた位置にガラス片が付いていました。
この危ない欠片をどう安全に取ったものか。

そう思案した時、夢から覚めました。





ぼくが起きた時、彼女もほぼ同時に起きたようで、
目をかき始めました。右目でした。

大雑把だとの前置きからは考えられないほどに長くなりました。
そして、怪奇でグロテスクな世界だったのだと改めてわかりました。
至極立派な悪夢です。

しかし良い事が1つあります。
書いている途中、昨晩の夢の断片が出てきたからです。
それは高校の校舎でした。この情報があれば、少しばかりは思い出せるはずです。
  
  
  

20090205

意識も志も堕ちた時、ベッドだけが居場所になります。


 字にするのにも言葉にするのにも、あまりに凄惨無比な、夢を見ました。

それも続けて3日ほど。
いえいえ、3日と言いはしましたけれどもそれは本当に
3日間の出来事であったかどうか、それは定かでは無いのです。
それはむしろ数週間のようでもありましたし、
日が暮れる前の明るいとも暗いとも形容し難い、
世界が影も光も全てが紫に染まるとても儚い
少しの隙のようだったとも感じるのでした。

ともかく、そういった夢を見たという事がほぼ全ての理由となり、
この数十時間、ぼくは家から出る事ができなくなりました。
できなくなりました、というより正直には、出る気が失せていました。

貴重な貴重な2日間だか3日間だかを浪費はしたものの、
朧げな夢を思い出してみれば、まぁ…しようがないものか。とも思えるのです。
今になってみれば、断片的と言えばあまりに断片的な記憶でしかないため、
これこれこうなったから酷い夢だった、と断定することも怪しいのですが、
しかしまあ部分的なところだけを拾ったとしてもそれは
このぼくが、不快に感じることこの上無し。と断定するには十二分に足りるものでした。



なにはともあれ、これから数時間のうちに家を出、
そしてぼくはどこかへ移動するのでしょうか。